秩父34札所巡り

ひとこと

昨年来理由は判りませんが、秩父34か所の霊場巡りをしようと思い立ちました。
父のこと弟のこと色々な事があったからか、自分自身をもっと見つめたいのか、いずれにしても私自身の使命を果たし尽すために何かを掴む事が出来るような気がしたのです。
使命とは、美味しいお菓子を作ってお客様にお届けすること。そして人の役に立つ自分であり続けること。本当にそれしかないと思っているのです。
現在61歳。あとどのくらいの時間が残されているのか判りませんが、その為に精一杯生き抜こうと思っているのです。

5月28日(土)
一番札所 四萬部寺 二番札所 真福寺 
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曇り空の中、熊谷を出て約1時間ほどで秩父市内に。一番札所である四萬部寺へ上手く行けるか心配したが、車のナビに加えことのほか秩父市内の案内看板の丁寧な説明により難なく到着した。
寺の駐車場に車を止めまず一番に目に飛び込んできたのが、‘旅籠一番’である。かなり古そうな旅籠のように見え札所巡礼に来たんだという風情に浸らせてくれる。
手を清めお参りを済ませ納経をし、御朱印帳に押印していただく。愈々始まった私の札所巡り、何となくの期待感を抱かせる旅路である。
納経所のおじさんの親切な道案内を聞き二番札所に歩き始めた。約2キロの道筋との事で40分位かかるらしい。

一番札所から小道を右へ左へ道標と頂いた地図を頼りに歩き始める。「ピクニック気分で楽しいものじゃん。」と思いつつ足取りやや軽く進む。
鉄工所を右手に観音菩薩像の角を左に大通りを渡り何軒かの住宅を越していく。このあたりはかなりの悪天候の時はどんなことになるのだろう。
2年前の関東の大雪の時は大変だっただろうな。
そんな事を考えつつ歩くが余計なお世話であろう。

20分ほど進むと徐々に上り坂となる。二番札所の真福寺は少々山の中だと地図に記してあり予想はしていたので不安はなかったが、息が上がってきた。ハアハアと荒い息をしながら額の汗をぬぐう。
「これだよ、これ。巡礼の醍醐味? 札所巡りしてる感 充満中。」

更に進むと、さらに坂がきつくなる。息が上がり呼吸が苦しくなるし足が上がらない。巡礼の醍醐味などと言ってる余裕がなくなり、ハアはあハア。こんなところでまさか心筋梗塞で倒れるなんてないよねえ。話にならず笑われてしまうでしょうね。
立ち止まりちょっと休憩し携帯してきたペットボトルの水を飲む。
「あや、水持ってきてよかった。」
休み休み登り続けると更に上り坂は急になり山深くなっていく。心筋梗塞の心配の次は、今はやりの熊との遭遇が頭をよぎる。
眼下の沢、斜面の上に目を凝らし、風の音だけの静けさの中で心臓の鼓動だけがバクバク、ドキドキ、いいオヤジがお前怖いのかよと自問自答する。
そこへ突然、「うぐっ、うぐっ。」とうなり声が後ろから近付いてきた。
‘熊だ’と考える前にハッとしてとっさに振り向くと、なんだよ競輪の選手のトレーニングか?10台ほどの自転車軍団が私を追い抜いていく。
「こんちわ!」にこやかに作り笑いであいさつを交わす。
厳しいトレーニングで彼らも相当へばってるな!と思いながら本当は、
「人がいて良かった。これで熊に襲われることはないわ。」とほっとしていた。

ふと登ってきた道を振り返ると、あんなに険しく苦しかった道が清々しく美しく見える。何ということか、人の人生の道と同じなのかもしれないな!
辛く苦しい人生の道は立派に登り切ればそれは清々しく美しいのだろう。
たかが山道をちょっと登っただけで全く大げさだ。お前さん凝りすぎだよと思うものの、
やはりそう思う。
無事に二番札所の真福寺に辿り着き、同じ道を下り帰路につく。
札所巡り初日はここまでだ。帰りに食べた秩父のそばは格別上手かった。
毎回そば食って帰ろう。

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